アルムの書斎

『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』

この10年で世界の仕組みは激変する。

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どうも、アルムです。今回は、ピーターディアマンディスさんとスティーブンコトラーさんの共著、2030年 全てが加速する世界に備えよ、について紹介していきたいと思います。

2007年にアイフォンが日本に上陸してからはや10年以上が経ちますが、このデバイスの登場によって、日本を含め世界のありとあらゆる仕組みが大きく変わったことは、皆さんも既にご存知のことと思います。交通、金融、エンタメなどの主要な産業から、飲食、メッセージのやり取り、インターネットの利用という身近なものに至るまで、その全てのあり方、ルールが、スマホというたった一つのデバイスによって塗り替えられました。しかも、その登場からまだ10年程度しか経っていません。社会の仕組み、人々の生活の変化は、人類がこれまで経験したことのない速さで進んでいます。これも、皆さんすでに肌で感じているでしょう。

ただ、これからの10年、2020年以降に起こる世界の変化は、スマホが登場した時とは比にならないペースで進んでいきます。スマホとブロードバンドインターネットの普及で、テクノロジーの進歩もかつてない速さで進みました。2020年以降になると、その進歩はさらに進み、また、それぞれのテクノロジー同士が融合する、という事態が起きます。この変化が圧倒的な数、繰り返されることによって、世界の変化は、これまで以上に、加速、していきます。同じ速さの変化ではありません。加速していく変化です。

それが一体どういうことなのか。どんなテクノロジーが進歩して、融合するのか。産業がどう変わっていくのか。そして、そんな変化し続ける世界で生きていかないといけない僕たちは、これからどうしていけば良いのか。今回はそれについて、ざっくりお伝えしていければと思います。テクノロジーの進歩については、VRとAR、産業の変化についてはエンターテインメントにそれぞれ絞って、紹介していこうと思います。

それでは、早速いきましょう。

加速する世界の変化について少し説明すると、この本の主張というのはつまるところこうです。

今後10年間のテクノロジーの進歩というのは、それぞれが持つエクスポネンシャルな発展と、テクノロジー同士のコンバージェンスによって加速していき、その速さは僕らの想像を遥かに上回るレベルで、全世界の有り様を変えていく、ということ。

エクスポネンシャルというのは、指数関数的と言う意味で、1年で二倍、2年で四倍、3年で16倍、といった感じで、上に延びた傾斜の大きい曲線的な変化だとということ。コンバージェンスは融合という意味で、そういった急進的なテクノロジー同士が融合する、ということ。

要は一つのテクノロジーの進歩だけでも凄まじいのに、それが他のテクノロジーと融合していくって言うんだから、余計に変化は加速するよって話です。

具体的にどんなテクノロジーが進歩しているかは本書に詳しく書いてありますが、ここで特に取り上げたいのは、VRと、ARです。

まずVRに関してですが、VRとはヴァーチャルリアリティの略で、和訳すると、仮想現実といいます。現実とは異なる空間を、人間の視界に映し出そうというものです。VRの概念は1960年代から既に存在していて、80年代に最初の消費者向けVRが発売されましたが、当初は不振に終わっていました。

しかし2000年代に入ると、VRの性能は徐々に上がっていって、例えば、スタンフォード大学の心理学者でVRのパイオニアでもあった、ジェレミーベイレンソンが行った法廷におけるVRの威力について説明する裁判官向けのカンファレンスでは、裁判官たちにVRゴーグルでその世界を実際に体験してもらったことで、圧倒的な実在感、つまり、今そこに自分がいるという感覚を強烈に与えられるようになるほど、技術は向上していました。2000年代以降からは、VR単体の技術と、当時からより強力になったゲームエンジン、AIによる画像レンダリングとのコンバージェンスによって、ビジネスとして事業化できる段階まで発展していきました。

例えば、ファイスブックが買収したVR会社、オキュラスリフトでは、現時点でクエスト2と呼ばれる新モデルのVRヘッドセットが販売されていて、アプリケーションもどんどん充実してきています。ゲームはもちろん、ドラマの視聴やビデオプレーヤー、pcと繋いでデスクトップとして操作するといったことまで、その使い方は多様です。日本ではsonyがプレーステーションVRを開発していて、ゲームのラインナップはますます充実しています。

ではこれからVRはどう進化していくんでしょうか。まず、材料科学の進歩による圧倒的な軽量化と高機能化が期待されます。2015年にテクノロジーサイトのベンチャービートが報じた記事によると、通常は年に10社ほどしか新規参入しないvr市場に、一挙に234社が参入したとのことで、これらの企業が競争する中でVRヘッドセットのさらなる品質の向上が見込まれています。

次に、VR関連のガジェットの充実です。

例えばアメリカのhear360という会社が開発した「オムニバイノーラル」マイクロフォンセットは360度の音声を捉えることができます。これはコンサートやラジオでも使われているんですが、VRでの活用も可能です。ヘッドセットによる視覚の没入だけでなく、聴覚の没入も加わることで、仮想世界の臨場感はより高まります。さらに、触覚グローブや嗅覚、味覚のシミュレータなど、五感を刺激するセンサーも次々と登場してきていて、仮想世界への没入感も一層高まってくるでしょう。

ではARについてはどうでしょうか。

ARはオーグメンテッドリアリティの略で拡張現実のことを言います。現実の環境にコンピュータによる情報を映し出すことで、文字通り、現実を拡張しようというものです。

例えば、街中に並ぶお店にARグラスのようなデバイスを使うことで、画面上にそのお店に関する口コミやウェブサイトが表示される、といった具合です。日本では2016年に、gpsゲームのポケモンGOがダウンロード数10億回を突破して国内でも大きな話題になりましたが、あれもスマホのgps上に仮想のポケモンを配置するというAR技術が組み込まれています。

これまでのARは、アメリカのマジックリープ社が販売していたような初代ARメガネが主に使われていましたが、あまりにもオタク的で使い勝手が良くない面もあったことで、一部のゲームマニアにしか使われていませんでした。

しかし、ポケモンGOの普及でARという技術が注目され始めたことで、大手企業やスタートアップがその市場に参入しようとしています。

例えばアップルは、通常のスマホアプリ用のデベロッパーツールに加えて、ARデベロッパー用ツールセットを発表しました。今後AR市場が急拡大していくことを見越して、誰でもARアプリが作れる環境を構築しています。また、マイクロソフトも、マイクロソフトホロレンズを発表していて、工事現場における建物の完成模型を映し出したり、医療だと、次に控える手術に備えて、人体の仮想オブジェクトを映し出して、オペをシミュレートしてみたりと、既にいろんな用途に使われています。

しかも、これはあくまで現時点での話。これからのARはさらに進化していきます。ARコンタクトレンズです。材料科学の進歩とのコンバージェンスで、デバイスの軽量化という域を超えて、小型かつ柔軟性のあるコンタクトにまで昇華させようという動きが出ています。Googleやサムスンのような大企業はもちろん資金力のあるスタートアップまでもが、この開発に取り組んでいるんです。

どうでしょうか。たった2つのテクノロジーだけ見てもここまでの変化が起こり得るんだから、かなり衝撃です。

それじゃあ、ここまでの話を踏まえた上で、これらのテクノロジーは今の産業をどう変化させていくんでしょうか。特にエンターテインメントの未来についてはかなり気になります。

この産業の変化を語る上でまず外せないのは、ネットフリックスです。1999年にDVDのレンタルサービスをする会社として創業されたネットフリックスは、2007年に郵送サービスからブロードバンド通信を使ったストリーミングサービスへの転換したことを契機に、映像配信のあり方を激変させました。創業当初は20万人弱だった会員数は、2018年秋時点で1億3700万人にまで到達しています。

Youtubeの影響も無視できません。決済サービスペイパル出身の三人によって創業されたyoutubeは、当初、まともなオフィスも構えず、ガレージでひっそりと行っていました。共同創業者のジョード・カリムが記念すべき一本として、動物園の僕、と題したショボい動画が公開されてから10年以上が経過した今、youtubeはGoogle傘下の企業となって、動画配信プラットフォーマーとしての礎を築くまでに至りました。

両社に共通しているのは、クリエイターに対する圧倒的な資本の投下です。ネットフリックスでは2017年にオリジナルの映画とテレビ番組の制作に62億ドルもの資本を投下して、作品のクオリティを圧倒的に高めています。全裸監督やストレンジャーシングスなどの大ヒットは皆さんの記憶にも新しいと思います。

一方youtubeの強みは、誰でも簡単に映像コンテンツが配信できる環境を作り上げたことで、これまで資本力のある企業しか映像を作れなかった環境を破壊して、コンテンツは配信を大衆化させました。質の高いコンテンツで視聴者を沸かせる投稿者には莫大な広告収入が投下されて、youtuberとして、その影響力を動画配信以外の業態にも広げています。

このようなエンタメの変化をさらに加速していくのが、VRとARです。Youtubeやネットフリックスはどちらも素晴らしいコンテンツを提供していますが、配信の媒体は、まだスマホやpc、テレビといった、スクリーンありきの世界にとどまっています。VRの進歩にによって仮想世界への魅力が知れ渡れば、多くの企業がこの世界への進出を開始します。さっきも言った通り、VRが持つ最大の魅力は、五感を刺激した圧倒的な没入感です。目に映る世界の全てを、視覚だけでなく、聴覚、触覚、などを通して体感できるようになります。いずれyoutubeのようにVR上で誰でもコンテンツ配信ができるようになるかもしれませんし、ネットフリックスのように、大規模な資本投下によって生み出されたVR作品が、五感を刺激した新しいエンタメを提供していくかもしれません。そして、その流れにARも加わっていきます。現実の世界に仮想のオブジェクトを映し出すことで、スクリーンで映像を見るということはもはや無くなります。寝室の壁や、手のひら、街のど真ん中であっても、簡単にコンテンツが楽しめるようになるでしょう。ARグラス、あるいはARコンタクトレンズでよってそれが享受されるわけですから、片手にスマホを持つ必要すらありません。場所の制約や体の制約を一切受けることなく、エンタメを楽しむ時代は、もうそこまで来ています。

VRやARは、まだゲームの世界でしか盛り上がっていませんが、今後は教育、医療、工業の世界にも本格的に広がっていきます。そうなれば、両者のテクノロジーの認知度はさらに高まって、スマホの時以上の圧倒的な速さで産業を変えていくでしょう。こんな激変がたったの10年で起きるって言うんですから、まさに加速する世界です。

じゃあ、そんな変化の激しい時代に僕たちはどうすればいいのか。とにかく行動、と言うのは簡単ですが、なかなかそうはいかないのも分かっています。

最高の体調でも話ましたが、人類というのは農耕生活を始めるよりずっと前から少なくとも600万年以上にわたって狩猟採集生活をしてきた歴史があります。だから僕たちの体はその時代の環境を生き抜くために進化してきたわけであって、今のような情報化社会に適応できるようにはデザインされていません。だから、都会の喧騒にストレスを感じるし、変化する人間関係には悩まされるし、大量の情報を処理しきれずに寝不足になったりするわけです。

そこで大事なるのは、得られる興奮と、自分の満足感に線引きをすること。環境の変化によってもたらされる便利と興奮は享受しつつ、その上で自分が一番幸せを感いじる瞬間はいつか、心と体をリラックスできる瞬間はいつなのかってことを、常に把握しておくことが大事になってきます。その基準さえ持っていれば、どれだけ環境が変化しようと、自分の満足感は変わりません。つまりそれも、知ることから始まります。変わる環境に何も考えず適応しても、後で辛くなるだけです。変化をすぐ受け入れるか否かに関わらず、どんな変化が起きていて、自分の幸せの価値とどう折り合いをつけるのかを常に考えること。それが本当の意味で、環境に適応するってことです。特に日本に住む人々は、生まれる利益よりも、失う損失の方に注目する傾向があるので、この話もしてみました。

まずは知ること。そこから初めてみてください。

ということで、今回は以上になります。「2030年 全てが加速する世界に備えよ」、紹介して見ましたが、本書で取り上げられてるテクノロジーはVRとARだけではありません。3Dプリンティングや自動運転、ブロックチェーンなどこれからの世界を激変させるテクノロジーがいくつも紹介されています。もっと詳しく知りたいと思った方はぜひ本書を読んでみてください。

最後まで見てくださりありがとうございました。stand.fmで音声配信もしているので、こちらもぜひ覗いてみてください。

次回もお楽しみに。それでは、また。

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